「シン・ゴジラ」の記事が掲載されていました。
特撮監督も兼任した樋口真嗣監督は「怖すぎでも憎めない」と仰っていて「うん、わたしも同じ気持ち」と思いました。
樋口監督はゴジラの魅力を「キャラクターとしての振り幅の大きさ」と熱っぽく語っています。
ゴジラ映画は1954年に誕生して28作品がつくられてきました。
初期のゴジラがそんな前に誕生していたとは知りませんでしたが、水爆実験の影響で誕生したゴジラは、最初は核の恐怖を象徴するものだった、と言うことです。でもシリーズによっては息子のミニラとの親子愛が描かれたり、マンガ「おそ松くん」に出てくるキャラクターの「シェー」を披露したこともあったそうです。
わたしも「シェー」の話題は聞いたことがあります。
樋口監督も仰っていますが、「モスラ」と「ヘドラ」の登場はインパクトが大きかったです。
「ヘドラ」という名前は公害の象徴として登場したんですね。
その後「ウルトラマン」などのテレビの影響でゴジラも安心できる存在になって物足りなく感じたそうです。
樋口監督にとって「初期のゴジラは忘れられない毒の味だった」ということです。
なぜか子供たちはウルトラマンや怪獣が好きです。
怪獣も日本の場合、人間的に描かれていて憎めない存在ということも多いですね。
以下は引用です。
「初代」にならって
75年の「メカゴジラの逆襲」を最後に制作が一時中断された「ゴジラ」は、84年には凶暴な怪獣として原点回帰し、復活。実はこの映画の撮影にスタッフとして参加していた。仕事は「ゴジラの『付き人』のようなもの」と笑う。
「俳優さんがゴジラの着ぐるみを着るところから見せ場の火薬を使ったシーンまで、ずっとゴジラのそばにいた。そのおかげで映画作りの流れが分かった。同時に、俺ならこうするのにとか、勘違いが発生したんです」
95年に始まった「平成ガメラシリーズ」で特撮監督を務め、「日本沈没」「進撃の巨人」などのヒット作を監督してきた。その映画人生の原点がゴジラだったのだ。
新作のゴジラは過去シリーズの延長ではなく、人類が初めてゴジラに遭遇するという点で“初代ゴジラ”と同じ設定だ。「突拍子もない生き物を作るという意味では、1作目と同じ。2作目以降のゴジラは真正面を向いていますから」
総勢328人のキャストに加え、エキストラの熱心さ他の作品と違うものを感じたという。
「多くの人にとって特別な作品。新作ゴジラを見て、子供たちに『僕もゴジラを作りたい』と思ってもらい、次世代につなげていきたい」
そのプレッシャーが、ゴジラ映画に関わった者の使命感につながっているのだろう。
読売新聞 7月27日 夕刊
水爆実験から誕生したゴジラは公害やバブルなど時代を反映したものが多かったように思います。わたし自身はそういう「社会性はもういい」という部分がありました。
2014年に公開されたハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」は東日本大震災の原発事故も織り込まれていて「時代を切り取る映画」としての役割もあった、としています。
この映画の脚本・総監督の庵野秀明氏はアニメ「エヴァンゲリオン」で知られる方ですが、2013年に東宝からオファーを受けた時「怪獣映画の完成度は1作目のゴジラに集約している。最初のゴジラを超える自信がないし、1作目があれば十分だと思った」と、断ったそうです。
しかし、「魂を削りながら作っていた」、アニメ映画「エヴァンゲリオン」が3作目の2012年に区切りができたことで、「何も作るものがなくなり、立ち上がることから始めなければならなかった」と、その時の状況を語っています。
そういう時にゴジラの制作を引き受けたことは「僕自身も救われた」とあり、今、この時代の「ゴジラ」がどう描かれたのか興味がわきました。
人が感動するのは「魂が込められているかどうか」なんですよね。
単なる商業主義では、今の観客は見抜いてしまいます。
庵野監督は最後に次のように語っています。
今作のゴジラはフルCGにこだわった。「人間的な意図を削り取るために、CGが持つ人間的でない部分を最大限生かした。映像表現の選択肢は広がっている。ゴジラファン、特撮ファンに満足いただける映画になったのではないかと思う」と手応えを語った。
読売新聞 7月27日 夕刊
夫は今から楽しみにしているんですよね。
多分特撮がどのようになっているのかその辺のリアル観を楽しみにしているのではないか、と思っています。
「恐い」とか「危険」という雰囲気が出ている、とキャラクターデザインを手がけた造形作家の竹谷隆之さんは仰っています。
子供たちに「毒の味」を残すことができるのか、気になります。
29日公開です。
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