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近くて遠い日韓関係 [新聞記事]

こんにちは。

本日は昨年の日韓両政府による合意により「和解・癒やし財団」が発足したというニュースです。

新聞記事によると、日本政府は財団の運営資金として10億円を8月中のも拠出する方向ということです。
菅官房長官は28日午前の会見で「日韓両政府が合意を責任を持って実施することが重要だ」と語り、少女像撤去について「韓国政府が適切に対応されるだろう」と言っています。

自民党の一部には「少女像撤去を資金拠出の前提とすべきだ」という意見もあるようですが、日本政府は元慰安婦への支援を先行させ、「少女像を巡る韓国の環境整備を後押しするのが得策」(政府関係者)との見方を強めている、とありました。
読売新聞 7月28日 夕刊1面

昨日のニュースでは会場内に大学生たちが乱入し「10億円は必要ない」「少女像を守れ」と叫んでいる様子が映し出され、これが韓国の若者の現状か、と内心呆れました。
本日の読売新聞の「論点スペシャル」に「慰安婦財団 和解への道」として3人の有識者の話が掲載されていました。

その一人米外交問題評議会上級研究員のシーラ・スミス氏の話は、「日韓両国民の間に友好国としての尊敬の念や信用がなければ、結局は防衛の現場レベルで機能しない」と最後にまとめていましたが、少々ピント外れという感じもしました。さらに、「日韓双方の国民感情は、四半世紀にわたる対立で深く傷ついてしまった」という話も、その原因を作った米国の責任に対して「論点」になっていない、と思いました。

わたしが注目したのは、日本側の有識者として、朝鮮半島地域研究が専門の木村幹神戸大学教授の話でした。
「早期に10億円を拠出することが解決の近道」と指摘されていて、これは政府と一致していると思いました。

紹介すると次のように述べています。

日本国内では、資金拠出との交換条件で、在韓日本大使館前の少女像の撤去を求める声が根強い。しかし、少女像の問題について、日韓合意は「適切に解決されるよう努力する」と盛り込まれただけで、約束事項とまで言えない。

一方、財団への資金拠出は、日韓合意に「韓国政府が財団を設立し、日本の予算で資金を一括で拠出」すると明示された、立派な約束事だ。早期に資金を拠出し、元慰安婦への支援を先行させた方が、結果的に韓国国内の環境を整備することにつながるだろう。
逆にもし日本側が、少女像が撤去されるまで資金拠出を引き延ばせば、韓国側に「日本側が約束を破った」と主張する口実を与えてしまうことになる。たとえ韓国政府がそのように考えなくても、朴槿恵政権の与党の内部からそうした反発が生まれ、それが広がれば、少女像問題の解決は遠のくだろう。

韓国政府にとって、少女像の撤去は極めてハードルの高い政治問題だ。朴大統領の求心力が一定程度、保たれている今のうちに行うか、2018年2月に就任する次期大統領の手に委ねるかのいずれしかない。来年12月の大統領選挙が近づくにつれ、野党からの批判材料になりやすい少女像の撤去はますます難しくなっていくからだ。

日本の政府・与党は朴氏の判断を尊重するとともに、次期大統領選の有力候補者にも日韓合意への反対論を言わせないよう、慎重かつ冷静に対応することが求められる。
(以下略)
読売新聞 7月29日11面

慰安婦問題を含む賠償問題は1965年の日韓請求協定で「完全かつ最終的に解決」されていますが、韓国政府は90年代以降、韓国挺身隊問題対策協議会(挺隊協)などの主張を真に受け、問題を蒸し返してきた。また、過去には日本政府の対応や政治家の失言が韓国側に蒸し返すきっかけを与えてきた、以上のように指摘されています。
安倍政権の基盤が盤石なこのときに、慰安婦問題の解決に向けてリーダーシップを発揮してほしい、としていました。

また前述した、シーラ・スミス氏も、以下のように指摘しています。

日韓合意から財団の設立にこぎつけるまで約7カ月もかかってしまった。合意の責任者である朴槿恵大統領の任期は約1年半しか残されていない。任期中にすべてをやり遂げなければ、合意自体が白紙化してしまう恐れがある。安倍首相にとっても、日韓国交正常化50年を迎えた年の最後を飾った合意が崩れる事態は避けたいはずだ。
読売新聞 7月29日11面

韓国側の韓国東西大日本研究センター所長の趙世暎(チョウ・セヨン)氏は、韓国世論が今回の合意事態に反対意見が多いと、日本側との立場の違いを指摘していました。

ちょっと話がそれますが、
韓国は小中華の国ですが、中華思想の影響を少なからず受けてきたと言えます。
中華思想というのは、中国が宇宙の中心で「周辺の辺境の異民族を文化程度の低い禽獣であるとして卑しむ」という、漢民族が古くから持ち続けた、自国中心主義思想です。

ウィキペディアには宮家邦彦氏が、中華思想は「対先進国劣等感の裏返し」として以下の点を紹介しています。

1、世界は自分を中心に回っていると考える
2、自分の家族・部族以外の他人は基本的に信用しない
3、誇り高く、面子が潰れることを何よりも恐れる
4、外国からの経済援助は「感謝すべきもの」ではなく、「させてやるもの」だと考える
5、都合が悪くなると、自分はさておき、他人の「陰謀」に責任を転嫁する

中華思想 - Wikipedia



隣国ですが、このような国の影響下にあったことを考えれば、相手国としては本当に難しい感情を持った国民性であることが分かります。
日本は、蒸し返させないための布石を打っていくこと、問題を解決するためにはやはり相手国を尊重する気持ちが大切かもしれないと思いました。

それは平身低頭や強権的態度ではなく、国益を考えた対等な関係だということを示すことでもあると思います。
それが日韓関係では必要なのかもしれません。

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コメント 4

いっぷく

>それは平身低頭や強権的態度ではなく
今の政治って「右」も「左」も「保守」も「革新」も残念ながらそのどちらかですよね。
by いっぷく (2016-07-30 03:52) 

一宮

ありがとうございます。
わたしはそのことに一種の危機感を持っていて、これは日本人的な「和」の精神から外れると思っています。
by 一宮 (2016-07-30 10:27) 

kazu

和というものに理解の及ばない民族もいるのです。

日本人と朝鮮人の間にはそれはそれは深い溝があり、3000年経とうが埋める事のでき無いもの。

和を持って臨めば10000年経っても埋める事のでき無い溝です。

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っっっっっっっっっ
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もし宜しければ、シンシアリーのブログまでお越しください。
by kazu (2016-07-30 11:52) 

一宮

ありがとうございます。

(笑)
そうですね。
だから韓国とは今後適度な距離感をもっていくことが官民合わせて必要なんでしょうね。
「和」というのは丸く治める、という意味合いで中庸ということです。
どうも今の日本は白黒、善悪などで考えようとする傾向がありそれでは問題解決にならないのではないか、と思いました。

外交は国益の駆け引きで、気難しい相手から有利な実益を引き出していくかだと思います。
そのために相手を尊重するということは基本的な姿勢だと思いました。
安倍総理はそれに成功していると思います。

by 一宮 (2016-07-30 14:45) 

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