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南シナ海の人工島造成は現代の「満州事変」か 宮家邦彦氏 [日記]

こんにちは。

先日買った「週刊新潮」を堪能しました。
「変幻自在」の高山正之氏や吉田潮氏の「TVふ~ん録」、櫻井よしこ氏や北方謙三氏、順天堂の天野篤先生、五木寛之氏のコラム、小説は宮部みゆき氏、京極夏彦氏と、名前だけ見てもわたしにとっては豪華な盛り合わせでした。
壇蜜さんのコラムもあり、自分でも「おじさん化」しているなと感じています。

その中で気になった記事を一つご紹介します。

宮家邦彦氏の記事、「現代中国の『満州事変』と『リットン報告書』」です。
「中国が主張する歴史的権利に法的根拠はない」とした仲裁裁の判決は、現代の「リットン報告書」ではないかと言う指摘で、興味深い内容でした。
「リットン報告書」とは、日本の満州国進出に対して当時の中華民国(中国)が提訴して、3か月間調査して出された報告書のことです。この結果は「柳条湖における日本軍の活動は自衛とは認められず、また、満州国の独立も自発的とはいえない」と一方的に決めつけるものであったため、日本側は反発し翌年には国際連盟を脱退しています。
当時の国内世論は拍手喝さいしたとあり、国際社会での日本の孤立化を国内は理解していなかったことがうかがえます。

さかのぼって、中国が昨年5月南シナ海に「人工島」や「滑走路」を建設し始めた時、宮家氏はとっさに「これは中国にとって“現代の満州事変”になる」と感じたそうです。
ですから、今回の常設仲裁裁判所の判断が国際社会の声だとするならば、中国にとって「現代のリットン調査団報告書」になると直感したということでした。

「アジアの振興大国の米国の覇権への挑戦」と指摘されています。
宮家氏は次のように述べています。

【引用】
裁判所によれば、判断は「最終的」であり、紛争当事者すべてを法的に拘束する。国際法上、中国はこれを尊重する必要があるが、面子を完全に潰された中国が従うことはないだろう。

これを中国の「瀬戸際外交」と見るムキもあるかもしれない。強大化する自らのパワーをたよりに無理を押し通す、計算ずくの方策だと。中国最高指導部には国際法と国際世論について正確な情報が届いておらず、情報を見誤っている可能性が高い。「満州事変」と同様、真に痛恨の失点であり、歴史的転換点となり得るものだと考える。
週刊新潮 7月28日号 59ページ

わたしは一方的に中国が軍事化を進めているように思っていましたが、宮家氏は中国が情報を見誤っている可能性を指摘されています。
中国には国際社会は見えていないのかもしれません。

ここで満州事変当時の中国と日本について少しご紹介します。
小川栄太郎氏の著書「一気に読める『戦争』の昭和史」からです。

満州事変の発端となった「柳条湖事件」は関東軍作戦参謀・石原莞爾が立案し、仕組んだ謀略であった、と指摘されています。この動きは陸軍首脳や政府首脳にとっては寝耳に水で、政府は正式な兵力増員は認めず「事変不拡大」の方針を取っています。
しかし、林銃十郎指揮官が率いる朝鮮軍が独断で満州に進軍し本格的な事変となっていきます。
関東軍も政府の方針を無視して戦線を拡大していくことになりました。その結果満州をほぼ制圧してしまったのです。

これには混乱した中国の現状があったのですが、満州国はもともと、清の根拠地だったということです。どういうことかと言うと、満州国は伝統的な中国の領土ではなく、清国は中国の正統である漢民族から見ると、女真族による征服国家だったということなのです。(満州族は古くは女真族と呼ばれていた)

【引用】
広大な中国大陸で、漢民族、満州族、中華民国建国の際に深く関与した日本、南下を狙うロシア(ソ連)、利権で中国に群がる欧米列強が入り乱れていました。
そうした中、満州事変は、日本が漢民族の中国を侵略したのではなく、無政府状態になっていた満州族の根拠地を占拠して、国を作ったという出来事でした。
小川栄太郎著「一気に読める『戦争』の昭和史」22ページ

「満州事変では、英米の資本を背景とした近代的な軍隊だったはずの張学良軍数十万が、たった一万の関東軍に瞬時に敗れ」た結果できたのが満州国でした。
このことは中国側から見たら、「日本の強さ」と「中国の弱さ」を見せつけられた完全な敗北だったのです。
またその後の満州国の発展は凄まじく、10年の間に最新のインフラが整備された国際的な近代国家をつくってしまったということです。
以上をみて「弱い中国」の裏付けは中国国内の混乱ということをうかがい知ることができます。

最後に小川栄太郎氏は石原莞爾を天才的な軍人と仰っていますが、どんな天才であっても「国策全体とのすり合わせ抜きに、出先機関の一軍人が戦争を起こし、国を作ってしまうという荒技は結果的に『国を亡ぼす一歩』になったと言わざるを得ない」と指摘されています。

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