ニュースでお隣の国の様子を見るにつけ、韓国と日本とはこんなにも違うのか、と思います。
ＮＨＫニュースでも取り上げられていましたが、「大統領が退陣した日は全室無料」のホテル、「退陣するまで酒類を原価で提供する」飲食店など、独自のセールを打ち出す店もあるそうです。
韓国はどこへ向かうのでしょうか。
朴槿恵大統領の弾劾案可決後の韓国について、2人の識者の話が12月10日読売新聞の「論点スペシャル」に掲載されていましたので、まとめてみました。
元駐韓国大使・武藤正敏氏は、反日に逆戻り安保に懸念、として「反朴」を訴えて当選する次期大統領は、より「反日」になりやすい、と指摘しています。
慰安婦問題には「解決済み」として取り合わなければいい、米国も国際社会もそう考えている。深刻なのは安全保障で、最大の懸念は北朝鮮の核・ミサイル開発への対応として次のように述べています。
【引用】
4度目の核実験後、朴氏は「核兵器開発は体制崩壊を早める」と対決姿勢を鮮明にした。歴代大統領で「体制崩壊」を口にしたのは初めてだ。従来は韓国で何かあると挑発行動をとっていた北朝鮮が、朴氏の問題発言後は、国連安全保障理事会が厳しい制裁決議を採択しても静かだ。朴氏が内政の混乱から韓国国民の目をそらし、支持率回復を狙う機会を与えないためだ。
金正日政権の瀬戸際政策」は強硬政策で譲歩を引き出し、矛を収めた。金正恩政権は違う。どれだけ制裁を受けても核・ミサイルを実験配備する意思が明確だ。韓国が混乱し強硬姿勢が取れない間に開発は進む。次期大統領が融和的だと、北朝鮮に時間を与え、実験配備が完成しかねない。その時、北朝鮮は強硬な要求を突き付けてくるだろう。
（以下省略）
読売新聞12月12日13面
あれほど挑発してきた北朝鮮がなりを潜めているのは不気味ですよね。
韓国はお祭り気分の様子で見ていてただ呆れるばかりです。
武藤氏は、日本は当面見守るしかないが、パイプをつなぎ、変化には一気に関係を伸ばすのが最善の方策、としています。
一方静岡県立大学の准教授・奥薗秀樹氏は、政党・司法が世論になびくとして、韓国にはデモで政治を変革してきた成功体験があると指摘しています。
1960年、李承晩大統領を下野に追い込んだ学生デモ、1987年、民主化を求めた全斗煥政権でのデモを上げています。
意識してなかったのですが、韓国の大統領選挙は国民が直接選挙で選んでいるそうです。
奥薗准教授は、「引きずり下ろす前に、自ら選んだ責任や民主主義のあり方を冷静に考える必要がある」と述べています。
お隣の国の話ですが、日本にとってはポピュリズムの動きに対して「反面教師」になる事態が世界で続いていますね。
【引用】
ゆゆしき問題は、司法までもが「民意」になびいていることだ。事件が発覚する前、検察は露骨に朴政権の意向を受けて動いていた。しかし、国民が朴氏の退陣を求めると、政権に牙をむいた。正義のためではなく、世論の批判が自分たちに向くのを避けるとともに、大統領が検事総長の人事権を握る中、次期政権をにらんだ計算が透けて見える。裁判所ですら、デモの規制線を徐々に近づけていくことを許した。司法が時局や世論に流されているとしか思えない。
（中略）
韓国大統領を巡る混乱を防ぐために唯一期待できるのは、憲法を改正して大統領の権限を弱めることだ。分断国家の韓国は北朝鮮有事に対応できるよう大統領に強大な権限がある。ただ、民主化された韓国での大統領の権力に国民も疑問を感じ始めている。システムを変えないと韓国は立ちゆかない。今回の騒動を、悪循環を断ち切る契機とするべきだ。
読売新聞12月12日13面
韓国が法治国家だとは思っていませんでしたが、大統領選挙が国民による直接選挙だったとは気がつきませんでした。
世界ではびこるポピュリズムの台頭を見ると、数学者の藤原正彦氏が「国家の品格」で述べていたことを思い出します。
「真のエリートが必要」として、国民は永遠に成熟しない、と指摘されています。
放っておくと、民主主義つまり主権在民が戦争を起こし国を潰す、とまで仰っています。
国民は永遠に成熟しない、
エリートは暴走の危険を原理的にはらむ民主主義を抑制する、
国家には真のエリートが必要、
この個所はいつまでも残っている部分です。
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