SSブログ

スポンサードリンク

意外?富国強兵の戦国時代 江戸東京博物館「戦国時代展」 [雑学としての歴史]

2017年のNHK大河は「おんな城主 直虎」、主演は柴咲コウさんですね。

直虎は、戦国時代に男の名で家督を継いだ、遠江(とおとうみ/静岡県西部)井伊家の当主、井伊直虎のことで、後に桜田門外の変で暗殺される江戸幕府大老・井伊直弼の祖先にあたる人物です。

参考記事:オリコン 「おんな城主 直虎」

本日はその「おんな城主 直虎」で時代考証を担当された静岡大学名誉教授の小和田哲男氏が紹介する「戦国時代」の話です。

23日に両国の江戸東京博物館で開幕する「戦国時代展」ですが、展示されている資料や工芸品、また屏風に描かれている合戦の光景などを通して、武将たちの美意識、文化レベルなど、わたしたちが知る一般的イメージとは違う戦国時代を紹介していました。

戦国時代と言うと、戦いに明け暮れ、国も民衆も疲弊した陰惨な時代という印象ですが、小和田教授は次のように述べています。

【引用】
「意外に豊かな時代だったと言っていいでしょう」
「家は焼かれ、田畑は荒らされと、負のイメージが強いが、戦いに勝つには国が豊かでなければいけない。戦国大名は富国強兵に努め、その中で陶器や漆器の生産などの地場産業が発達し、商品流通経済も盛んになった」
その表れは、工芸品の発達だ。「甲冑も、刀も、戦う道具であるが、現代的な目で見ればすごい工芸品。日本の物づくりの原点」と指摘する。

例えば、常陸(茨城県)の佐竹義重が着用したとされる「黒塗紺糸緘具足(くろぬりこんいとおどしぐそく)」は、漆塗りの鉄板を紺の糸でつなぎ、威厳に満ちた風格だ。兜の前立は毛虫を模した姿。前にしか進まない毛虫は、戦場で絶対に後退しない、という美意識を表し、「“鬼義重”と称された佐竹義重らしい甲冑」といえる。

ab0a5b122a23eea1b28419f1a2c33063-612x1024.jpg

引用元:歴人マガジン 秋田市指定有形文化財「黒塗紺糸緘具足」

戦国大名は経済力を背景に、造園、出版、芸能の保護にも力を入れた。100年あまりの間、朝倉氏の本拠地だった一乗朝倉氏遺跡(福井県)で出土した高級陶磁器の数々は、戦場を離れれば風雅だった武将の暮らしをうかがわせる。
読売新聞 11月18日12面

江戸時代、武士たちは戦国時代の合戦を屏風に書かせたということです。
小和田教授は、
「軍記物の記述などを基に、先祖の活躍を追体験したり、見て楽しんだりする意味合いが強かった。川中島の合戦のような有名な合戦は人気で、いくつも屏風が描かれた」ということです。
今回「戦国時代展」で展示されるのは、「川中島合戦図屏風 米沢本」で、有名な上杉謙信と武田信玄の一騎打ちの場面ですが、2人とも川の中で馬に乗った姿で、謙信の刀を信玄が軍配で受けるという形で描かれています。

e4291a0ec0c027a93f6df92afc9fcc61.jpg

引用元:歴人マガジン 「川中島合戦図屏風 米沢本」

同じ合戦を描いても、書物によって違いが出ると、教授は指摘しているのですが、一般的に知られているものは、馬上の謙信が振り下ろした太刀を、床几(しょうぎ)に座った信玄が軍配で受ける、というものだそうです。

ちなみに床几とはこういうものです。

220px-Shogi_as_japanese_traditional_chair.jpg

引用元:床几

他にも注目は「刀 義元左文字 無銘」で、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を破った時に「分捕った刀」です。
信長は「義元討捕刻彼所持刀(よしもとうちとらえるときひのしょじのかたな)」と彫らせたということです。

sgjd_065-1_samonji-e1477878611579-1024x116.jpg

引用元:歴人マガジン 重要文化財「刀 義元左文字 無銘」

三好政長、武田信虎、今川義元、と持ち主が変わった「名刀 義元左文字」は、桶狭間の戦いの後は信長愛用の刀となった、ということです。
信長の死後、豊臣秀吉・秀頼、徳川家康と渡っていきます。
家康は大坂の陣での刀を身に着け、以後徳川将軍家の宝となり現在に伝わっている、としています。

戦国時代や、合戦を描いた屏風などのイメージがだいぶ変わりました。
刀と言うと、何かおどろおどろしいイメージがあったのですが、実際おどろおどろしいのでしょうが、「信長が愛用した刀」というフレーズは、なぜか身近に感じました。
小和田教授は「戦国時代は、現代につながる文化の素地が作られた時代」と仰っていています。


nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

広告スペース
Copyright © シニカルを目指すわたしの雑学 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。